2025年(令和7年) 2月16日(日)付紙面より
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下水道処理で発生する汚泥を資源にした肥料「つるおかコンポスト」を生産する新たな施設整備の安全祈願祭が14日、建設場所となる鶴岡市宝田三丁目の市浄化センターで行われた。来月から工事を本格化させ、2027年4月の稼働開始を見込んでいる。
同市が、稼働から40年ほど経過する同センター近くの現施設を更新するもので、センター敷地内に移転整備する形となる。現施設は老朽化により稼働率を制限し生産量を減らしており、汚泥発生量の3割程度の活用にとどまっている。現在の年間コンポスト生産量530トンを、新施設では発生量のほぼ全量活用によって現行の3倍となる1620トンの生産を目指す。
新施設は鉄骨造り平屋建て、広さ3500平方メートル。パドル式攪拌(かくはん)装置で現行と同じく脱水汚泥に水稲のもみ殻約3割を交ぜて発酵させるコンポスト化設備と、出荷に向けた「フレコン詰め」「袋詰め」する製品化設備を備える。36億8000万円の整備事業費のうち約半分は国の交付金で賄う。整備は水ingエンジニアリング・石庄建設・山田工務店・アベ電工特定建設工事共同企業体が担う。
安全祈願祭には市や工事関係者ら約40人が出席。神事を行い、皆川治市長らが鍬(くわ)入れした。発注者として皆川市長は「(下水汚泥ともみ殻によるコンポスト生産は)鶴岡市が全国のフロントランナーだと自負している。海外に依存する肥料や化学肥料をコンポストに置き換えられるよう、地元農家の期待に応えていきたい」とあいさつした。
市は、コンポスト増産に伴う利用促進に向け、関係者による検討組織を立ち上げた。施肥が容易になるようコンポスト製品のペレット化の検討を進めるほか、国が国内資源の利用拡大に向け新たに定めた規格「菌体りん酸肥料」の登録を目指す。登録されると、他の肥料との混合も認められることから、地域内の農家に限らず肥料メーカーへの原料としての供給も可能になるという。