2025年(令和7年) 4月30日(水)付紙面より
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酒田市の飛鳥神社(佐藤共子宮司)で27日、五穀豊穣(ほうじょう)や国の安寧を願う祈念祭「湯の花祭」が行われ、「湯立(ゆたて)神楽」(市指定無形民俗文化財)を奉納上演したほか、鉄鍋にお湯を沸かして今年の吉凶を占った。
同神社は約1200年前、大和国(奈良県)の飛鳥坐神社を分祀したとされている。湯立神楽は伊勢神楽系統に属する修験神楽で、社記には江戸時代初期の元和8(1622)年には行われていたという記録が残り、それ以前から連綿と受け継がれてきたとみられている。
この日は長さ約5メートルの棒に「湯釜(ゆがま)」と呼ばれる鉄鍋を12個ぶら下げた斎場を社殿前に設営。午後1時半から社殿内で神事を行った後、同2時半ごろから斎場脇の特設舞台で地元女性による巫女(みこ)舞に始まり、神官や地元児童たちが神々の国生み神話を表現した「露佛(つゆはらい)」「神招(かむまねぎ)」「鳥居舞」など7曲の神楽を舞い、奉納した。
「釜若勢」と呼ばれる氏子たちが湯釜に入れた水を豆がらのたき火で沸かし、神官がクマザサの束に湯を付けると、クマザサの束を受け取った巫女が再び神々しく舞った。集まった地域住民たちは今年の豊作を願いながら、時折手を合わせ静かに見入っていた。