2025年(令和7年) 5月10日(土)付紙面より
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大型連休が終わった。酒田市では連休中に「二十歳を祝う成人の集い」が開かれ、首都圏から帰省した人もいて、いっときだが街は華やいだ。一方、総務省の発表で4月1日時点の外国人を含む15歳未満の子どもの数が、昨年より35万人少ない1366万人だった。44年続けての減少で、比較可能な1950年以降で初めて1400万人を割り込んだ。
厚生労働省の人口動態統計で、2024年に県内で生まれた子ども(出生数)は4999人で初めて5000人を割った。県人口も今月1日時点で100万人を割っていることが確実視されている。将来を担う子どもがどんどん減ることに、ブレーキをかける手だてはないのだろうか。
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県の2000年の出生数は1万828人。それから24年で出生数が半減した。人口1000人当たりの出生数も全国平均を下回っている。庄内の今年4月1日時点の人口は2市3町で24万3947人。生まれる子どもより亡くなる人が約6倍。転出者も転入者より1・8倍多い。世帯数減も県全体の251世帯のうち、庄内は107世帯を占める。
20年の年齢別人口のグラフは、右肩上がりで高齢人口が増えていて70~75歳が1万8966人。1歳児は5738人で、少子高齢化の現実をはっきり裏付けている。少子化の背景には婚姻数の減少が挙げられる。政府も児童手当の拡充、育児休業取得を支援するなどの子育て対策を講じているが、その恩恵が非正規雇用者や自営業まで及ぶかとなると疑問符が付く。
人口減少の中で、酒田光陵高生が「さがだ 運命(うんめぇ)の出会い」と銘打って、地元企業とのコラボ商品・さつまいも塩どらやきを作ったり、遊佐高生が「枝豆ポタージュ」を工夫して販売するなど、庄内の良さ探しをしている。高校生や大学生が地元農産物の良さを見直して活用、観光ガイドブックなどを作って庄内を盛り立てようとしているのは頼もしい。若者の意気込みが、人口減少のブレーキ役になってくれることを願いたい。
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県内の高校生の県内企業への就職率は、23年3月卒業で98・9%と高い。地元志向の高まりであろうか。一方、県外への転出を19~23歳層が多くを占めるのは、大学進学の表れとみられている。県の統計では、この年齢層の県内の平均給与は全国平均より約2万2000円下回る。
少子化は、地方の活力を将来に持続させることを厳しくする。どうしたら地方から子どもが減ることを止めることができるだろうか。政府は子育て支援策などを講じているものの、まず取り組むべきは非正規雇用をなくする構造改革に取り組むべきではないだろうか。多様な働き方に重きを置いてばかりでは、地域間格差を生じさせることにもなる。