2025年(令和7年) 5月11日(日)付紙面より
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鶴岡市の慶應義塾大先端生命科学研究所(荒川和晴所長)の高校生「研究助手」「特別研究生」の任用式・入学式が9日、同市覚岸寺の鶴岡メタボロームキャンパスで行われた。本年度は過去最多となる40人の庄内地域の高校の1―3年生が選ばれた。最先端の研究環境を生かしてバイオサイエンス分野の研究に携わり、未来の科学者を目指す。
研究助手任用は、先端研に隣接する鶴岡中央高の生徒を対象に2009年度に始まった。放課後に研究所に通って研究プロジェクトに従事し、アルバイト代も支払われる。本年度は1―3年生23人を採用。農産物や食品の新品種・加工品創出、がん療法関連、ウミウシの生理解析、クマムシの細胞生物学などの研究プロジェクトに携わる。
特別研究生受け入れは11年度にスタートした。世界的な研究者を目指すという意欲を持った生徒が対象で、平日の放課後や夏休みなどに研究所に出入りし、スタッフの指導で研究に取り組んでもらう。本年度の研究生は致道館5人、鶴岡工業1人、羽黒4人、鶴岡東1人、酒田東4人、酒田南2人の1―3年生計17人。常在菌研究やがん関連タンパク質の解析、農作物メタボローム解析など自分のテーマで研究員のアドバイスを受けながら研究を進める。
任用・入学式には生徒と保護者、スタッフ、来賓の阿部真一鶴岡市副市長、各高校の校長らが出席。荒川所長が式辞で「今日から皆さんは慶應義塾の一員。研究には失敗がつきものだが、前に進むための一歩となる。常に前向きに一日一つ何か新しいことに挑戦し続けてほしい」と激励し、研究助手に任用証、特別研究生に受け入れ証を手渡した。
生徒を代表し研究生2年目の酒田南高3年の齋藤真衣さん(17)が「より明確な目標を持って研究に取り組み、自分なりの問いを大切に思考を止めることなく研究を続けていく」と決意を述べ、鶴岡南高(現致道館高)時代に第1期研究生を務め、慶應先端研の研究員となった早坂亮祐さん(30)が「自分の興味を信じて研究を楽しんでほしい」と後輩たちにエールを送った。
特別研究生に採用された酒田南高1年の高瀬漣さん(15)は「カブトムシのふんを活用した除草剤の研究をしたい」と意欲を見せていた。