2020年(令和2年) 8月13日(木)付紙面より
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先の大雨で浸水被害を受けたJA庄内たがわ(太田政士代表理事組合長)の「月山ワイン」を、鶴岡市内の温泉地で足湯に活用していくことになり11日、同市湯温海の足湯カフェ「チットモッシェ」でお披露目された。13日ごろから1日に10本程度のワインを使い、美容やリラクゼーション効果があるという「ワイン風呂」の足湯を提供していく。
同JAによると、先月28日の大雨で、同市越中山の月山ワイン山ぶどう研究所では、旧国道のトンネルを活用した貯蔵庫「トンネルピット」に保管していた約3万本(1本720ミリリットル換算)のワインのうち、1万562本が濁流の浸水被害を受けた。トンネル下を流れている小さな沢が急激に増水し、高さ50センチほどまで浸水したという。
被害を受けたワインはいずれも昨年に醸造したもので、小売価格が1本1000円弱から約2700円まで。市に対応を相談し、約8000本は廃棄し、残り約2000本は月山ワインの知名度向上などを狙いに、飲用以外で、足湯やワイン染めへの活用を試みることになった。市を通じて関連事業者に無償提供する。
市によると「ワイン風呂」は、保湿や保温、芳醇な香りによるリラクゼーション効果のある「若返りの湯」として、あのクレオパトラも美貌を保つために愛用したという。
チットモッシェでは、ワイン足湯専用の浴槽2基(1基の容量約120リットル)を新たに準備し、13日ごろから今月末ごろまで午前10時―午後5時の間、1日に各浴槽に赤、白のワイン各5本程度を入れ、利用してもらう。誰でも無料で利用できる。
11日は、JA庄内たがわの太田組合長とチットモッシェを運営するまちづくり会社YUKAIの五十嵐公行社長(60)の2人が、同社スタッフの女性2人が入っている足湯に、月山ワイン「オリジナル赤」(通常税込み1903円)を4本、次々と注ぐと、湯が赤く染まるとともに、ほのかに甘い香りが立ち上った。スタッフの女性は「いい香り」「とても贅沢な気分」「肌がすべすべしそう」など感想を話した。
太田組合長は「最近ワインの需要が落ち込んでいた中で二重の被害となったが、今回の取り組みで気を取り直し、認知度を高め、売上増につなげたい」、五十嵐社長は「多くの人にワイン足湯を楽しんでもらいたい。店内では月山ワインも売っているので、そのPRにもなれば」と語った。ワイン足湯は、湯野浜温泉の「足湯」(湯野浜一丁目)での実施も検討している。