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2023年(令和5年) 11月22日(水)付紙面より

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鶴岡セミナー交流これからも 風間家との縁契機に初開催 東京大人文幅広い研究の一端紹介

 東京大大学院人文社会系研究科・文学部とインド哲学仏教学研究室が主催した「東大人文・鶴岡セミナー」が18日、鶴岡市馬場町の国指定重要文化財「旧風間家住宅丙申堂」で開かれ、同大の教授と准教授が講演した。風間家と同研究室との古くからのつながりをきっかけに初めて行われたセミナーで、納富信留研究科長・文学部長は「これからも鶴岡との関係を続け、幅広い分野を抱える文学部の研究を紹介するセミナーを継続していければ」と述べた。

 江戸時代の幕末には鶴岡一の豪商となった風間家の歴代当主は信仰心があつく、大正時代には東大の仏教研究者・常盤大定氏の中国視察に寄付を行うなど研究を支援。育英事業などを手掛ける財団法人克念社(現在は公益財団法人)を設立した8代目の風間幸右衛門氏は終戦直後、東大印度哲学科(当時)の花山信勝教授に50万円を寄付し、9代目・風間眞一氏が1987年に東大文学部への寄付を再開して以降は毎年、克念社を通じて寄付が行われてきた。長年にわたる寄付活動に応え、克念社の関係者や鶴岡市民との交流を深める機会にと、今回の「鶴岡セミナー」を企画した。

 風間家の仏壇があり眞一氏の遺影が飾られている仏間や座敷などを会場として使い、市民ら約90人が参加した。「お経ではないお経の話―『律蔵』とインドの僧院生活」のテーマで講演した同研究室の八尾史准教授は、仏教の経典の一部で、僧たちが生活を共にする僧院での規律を記した「律蔵」を紹介し、「いわゆるお経とは異なるが、律蔵を知ることで経典の中身のより詳しい理解につながる。古代インドの人々の考え方にも触れることができる」と述べた。

 「英語はなぜ難しいのか 日本語はなぜ難しいのか」と題して講演した副研究科長の阿部公彦・英語英米文学研究室教授は、日本語の話者にとって英語は音の区別や、話すという運動システムそのものが異なるストレスアクセントという2つの難関があると解説。さらなる難関は幼児が言語に触れる初期から感覚的に覚えるitやthis、thereなどの指示語だとして、「相手との距離感、空間を示す、身体的に習得される感覚的な言語を、大人になってから習得するのは難しい。体を動かしながら話すことで比較的に身に付けやすくなる」と話した。

 講演後は参加者との質疑応答もあり、英語のアクセントや仏教と日本人の関わりなどの質問に、講師以外の教授らもそれぞれの研究領域から答えるなど、活発なやりとりが行われた。博士課程時代に鶴岡を訪れ、風間眞一氏に寄付再開の話を直接聞いたという蓑輪顕量インド哲学仏教学研究室教授は、閉会のあいさつで「寄付を再開された眞一氏は、今回のような鶴岡市民と私たちとの交流を望んでいたのではないだろうか。これを契機に交流を続け、次代を担う若い世代の交流についても期待したい」と締めくくり、参加者から交流継続に向け大きな拍手が湧いた。

風間家との縁を契機に鶴岡で初めて開かれた「東大人文・鶴岡セミナー」=旧風間家住宅丙申堂
風間家との縁を契機に鶴岡で初めて開かれた「東大人文・鶴岡セミナー」=旧風間家住宅丙申堂



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