2023年(令和5年) 3月11日(土)付紙面より
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江戸期から明治期にかけて北前船の往来で栄えた酒田の繁栄ぶりを今に伝える酒田市船場町一丁目の旧家を活用した「酒田湊旧廻船問屋『家坂亭』」で、飾り菓子制作体験が行われている。市内で開催中の「酒田雛(ひな)街道」に合わせ実施しているもので、その愛らしい作品に主として女性の人気を集めている。
家坂邸は江戸期から明治期にかけ、北前船舟運で主に米と桐油(とよ)を扱った商家。初代徳兵衛翁は船乗りたちが使う、和紙に桐油を塗った今でいう雨がっぱの製造・販売などで財を得、その利益で京都から美術品を多く購入した。現存する邸宅は、1894年に発生した庄内大地震後、2代徳兵衛翁が建てたもので、1955年ごろから日本料理店として営業、70年ごろまでは結婚式場や貸席としても利用されたという。昨年11月に小松尚さん(70)=9代小松屋又三郎=が亭主となり観光施設としてオープン。施設内見学のほか茶話会などが開かれている。
飾り菓子は両面木型と呼ばれる立体的な形に仕上がる木型を用い、片栗粉やでんぷんなどを樹脂粘土に混ぜて制作するもの。酒田まちづくり開発(同市、西村修社長)が2021年2月に復刻し、「箸枕」の名前で土産物として山居倉庫「酒田夢の倶楽」などで販売している。
ひな飾り菓子制作体験は同市の老舗菓子店「小松屋」の店主だった小松さんの指導で実施。昨年に続き今年も人気があり、かわいらしい見た目から女性の体験者が多いという。4日に訪れた渡邉千佳さん(27)=山形市=は「酒田出身だが飾り菓子を知らず、地元の魅力を知ることができてうれしい。ぼかしや筆の使い方が難しかったが、楽しみながら作ることができた」と話した。
飾り菓子の制作体験は水―土曜午前・午後の2回実施(要予約)、参加料は1500円(サンプル付)。家坂亭は建物内部も自由に見学可能で、開館時間は午前10時―午後4時。月・火曜休館。入場無料。問い合わせは小松さん=電090(6222)9007=へ。